ここしばらくよく思い出す言葉があります。

 

「どうして女性だけ“輝く”がつくんですか?」

「女は輝くために仕事をしているんじゃありません!」

「『女を輝かす』って言葉は上から目線」

「平等に考えているなら『輝いている』なんて言葉は使わない。」

 

これは「エイジハラスメント」(テレビ朝日系)というドラマの最終回で女性社員が幹部役員に言ったセリフです。

そして、「子供を産みたいという形で国家に貢献」との内閣官房長官の賛否両論となっている発言を聞いたときにも、そのセリフは思い出されました。

共通するのは、都合よく女性が利用されることのないようにしたいという湧き出た気持ちでした。

 

確かに、「輝く男性」とは言わない。今一度、意識を新たに!

前述したセリフや発言は、もちろん、女性を利用しようというつもりの意図で発した言葉ではないのかもしれません。そういう私も、昨年1月に女性社会保険労務士チームで主催した女性起業家向けプロジェクトのパンフレットに「キラキラ輝く」というフレーズを入れました。この言葉には、「輝かす」という意味ではなく、「イキイキと自らが働く」という意味合いを込めたのです。ただ、人によってとらえ方は様々。輝くという言葉に上から目線と感じられる人や、なんとなく違和感をもたれていた人もいらしたかもしれません。

国が女性の社会進出に取り組み始めてから、少しずつですが、女性の活躍という意識に対しての捉え方に変化が生じているように感じられます。今、日本は変わろうとしているのでしょう!政府も、行政も、国民も、みんな手探りながら試行錯誤して道をつくっているときなのですよね。

「真に男女が働く日本」について「一緒に考えてみましょう」という視点で綴ってみることにします。

 

「女性」を強調する思惑とは?女性だけに変化を求めると・・・

昨年5月、厚生労働省の「年金マンガ」(参照:『いっしょに検証! 公的年金~財政検証結果から読み解く年金の将来~』)が公開され、その内容を見て、「公的年金制度のためにこどもを産むわけじゃない」という意見などがあがりました。

また、9月29日の内閣官房長官の「子供を産みたいという形で国家に貢献してくれればいいなと思っている」との発言にも賛否両論の声があがりました。

年金制度の維持や国家のためにもそうですが、なによりも日本国民のために、年金制度を維持するための人口、労働力人口を増やす必要があることはみんな分ってはいるのです。しかし、国のためにこども産もうと思っている人はいないでしょう。

今までは、仕事のためにこどもを産む時期が制限され、さらに、子育てのために働くこと(又は働き方)を制限されてきた女性も少なくありません。

それが今度は、こどもを産まなければならない雰囲気や働かなければならない雰囲気に女性を覆い、プレッシャーをかけて無理に動かそうとると、違和感がつのり、逆に、女性自らの意欲の低下を招くことになるかもしれません。そのつもりがないとしても、女性にばかり『変わる』ことを押し付けられているように感じられたり、都合よく利用されているようにも感じられたりする人もいるのではないでしょうか。

 

こんな施策を考えてみてはいかがでしょう!TOP5

前述したようなことにならないように、女性ばかりを強調しなくても、男性、企業、国にも求められることを考えてみました。先に提案のあがった順に記載しましたが、あくまでも参考に見ていただけたらと思います。

 

1.育児介護休業制度の要件緩和・義務規定の範囲を広げる

2.女性の特別扱いから、働き続ける男女のための公平な制度・仕組みの基盤強化へ

3.代替社員を派遣する機関を税金(一部でも)で運営する

4.女性活躍推進法を上手く機能させ、変わるための職場の雰囲気・環境作りをする

5.女性リーダーを増やして、間違った方向に舵をきらないように体制強化する

 

あとは、ベビーシッター制度や年間休日・休暇などを、女性の社会進出が進んでいる先進国を参考に、日本人の特徴に合うように工夫して取り入れていくことなど様々なものがあがりました。

他にも考えられることはたくさんあると思いますので、ぜひ、みなさんがどのようなことを考えられているのか知りたいです。「なるほど!」と思うことがたくさんでてくるはず。

 

女性を特別扱いするのではなく、働く「男女」のための施策を

女性が働くための時間を確保するためには、今まで多くの時間の割合を占めていた育児と家事を、どのようにしたら分散できるのか解決していかなければなりません。男性にも、今まで仕事に占めていた時間の割合を育児や家事のためにも充ててもらうことが求められます。

つまり、働く女性だけを特別扱いしていては解決されないのです。特別扱いというのは、する方もされる方も気をつかうものです。気疲れすると続かない。一時的なものとならないように、むしろ平等に扱うための法律や制度と仕組み、そして、機能させるための工夫が必要と考えます。

例えば、法律や就業規則などで、女性だけでなく、男性の長時間労働を抑止することが一つあげられます。男女ともにルール化することで、遠慮なく仕事を切り上げやすく、育児のために必要な事態があれば休暇を取りやすくなるでしょう。制度・規定で環境を公平に構築すれば、全体で業務の効率化を考えるようになり、だらだら残業までも防げる可能性があります。女性を特別扱いしていては、互いに遠慮し合ってしまい、特に責任感のある人ほど遠慮もするでしょうし、なかなか女性の社会進出は進みません。

8月28日に成立した「女性活躍推進法」(10年の時限立法)は、名前にこそ女性とついていいますが、長時間労働抑制など、男性にも働き方を変えるきっかけとなることが期待されます。

 

育児休業制度を使いやすくするための工夫が求められる

平等といっても男女の性による違いがあり、妊娠・出産・授乳という女性にしかできないこともあります。この間は、現在の育児休業制度をより普及させる工夫をする必要がありそうです。

育児休業制度を気兼ねなく活用できるようにするために、任意規定から義務規定の範囲を広げることや、働く女性の多くを占める非正規社員でも対象となりやすくするために要件・条件緩和するという方法もあげられます。

また、社会保険に加入されていない女性の産前産後期間中の所得保証についても考えてく必要があるでしょう。具体的な内容については別の記事で取り上げたいと思います。

 

代替社員を活用できる仕組みで女性事業主もサポート

休業している間にできるだけ会社に負担のかからないような仕組みがあると、「自分が休業することで会社に迷惑をかけないか」という不安が和らぎ、退職を選択しなくても、より自然に休みやすくなるのではないでしょうか。そのためには、休業している間の代替社員などの対策を企業やお金(助成金)任せにしないことだと考えます。

他の社員に負担がかかるのも困りますし、代替社員を探す手間も会社にとっては負担になります。職場で経験を積んだ社員の代替という役割をこなすにはそれなりのスキルが要求されますし、代替社員にとってもメリットが必要になります。

これを満たすことのできる仕組み、例えば、代替社員が必要になったら、ここに連絡すれば安心という機関を分かりやすく設けることです。
代替社員には試験や一定の条件に合格したものなどと制限を設けることで、条件をクリアした人材というブランドや使命感が生まれ、優秀な人材も集まりやすくなります。
さらに、任期制ではなく正規社員又は期間の定めのない社員として採用し、要望のある企業に派遣するという形にすることで職も安定し、様々な企業でスキルアップできるというメリットも感じることができます。

法人だけでなく個人事業主にも活用しやすくすることで、代わりとまではいかなくても、心強い味方となり、女性の起業へのハードルも緩和されるかもしれません。

代替社員を分かりやすく仕組み化することで、企業にとっても、女性社員、女性事業主にとっても頼れる存在となり、女性の仕事をセーブしなければならない要因が軽減されます。

これだけのことを満たすとなれば、全部又は一部でも税金を資源に運営されなければ難しいでしょう。中小企業庁の「地域中小企業人材バンク事業」も、工夫次第では期待できるのではないでしょうか。

 

女性と男性がそれぞれの特性を十分に発揮しながら働くために

女性も男性も何でもかんでも同じである必要はありません。男女の特性を互いに生かすことでより充実したものを提供できるでしょう。

例えば、女性ならではのしなやかさやきめ細かさ、アイディアは、なかなか男性にはだせないものがあります。逆に、男性ならではの勇ましさや力強さなどは、一般的な女性には真似できない部分なのではないでしょうか。

性別や平等にこだわり過ぎず、間違った方向にかじをきらないようにするためにも、女性リーダーの存在をもっと増やしていくことも重要です。

ちなみに、日本の女性議員比率は8.1%となっており、OECD諸国の中で最下位です。
(※各国の議会でつくるIPU(列国議会同盟)による「女性国会議員比率ランキング」(2014年11月現在))

やはり、どんなに理解力があったとしても、自分の立場からは見えないものがものがあるものです。ときどき感じる違和感は、多くが男女の認識のズレによるものだと考えます。そのズレを緩和する存在が必要です。

今の時代の流れをチャンスと捉えて、どんどん活躍の場を広げられている女性も多く見られますので、今後も多くの誠実で賢い女性リーダーが誕生されることと思われます。

 

働き続ける男女の次なるステージへ向けて

女性活躍推進について、必要以上に盛り上げて、「私も働かなければいけないのかな」といった雰囲気(空気)の中に女性を強引に追い込もうとするのではなく、両立のために多くのハードルを突破しなくても、自発的に働きたいと力強く思える環境が、結果的には女性の活躍を加速させることに繋がると感じています。

女性の笑顔は、こどもも男性も、社会をも幸せで温かい気持ちにしてくれる存在だと信じています。この笑顔が咲き続けるために、今一度見つめ直したい。

女性活躍推進に対する意識が変化しつつあるなか、「女性を特別扱いする」、「女性の活躍だけを祭り事のように盛り上げる」という時期から、次なるステージである、真に男女が働き続けるための仕組みや制度の基盤の構築について、一働く女性として考えていきたいです。

 

 

【追記】

この記事をかくために、様々な立場から感じることを棚卸しました。

だ~っとあげたものを参考に別ページに掲載しました。

『育児関連中の女性の社会進出を阻む要素』

 

勤務時代、顧問社労士として会社・事業主さまの味方であり続ける現在、女性事業主として、それぞれの立場から思うこと。

それは、女性だけでなく、男性・会社・社長・個人事業主にとっても、偏った負担のない公平な制度・仕組みが必要だと感じます。

 

 

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